ファイルサーバーの棚卸しは、容量を測るだけでは不十分です。所有者、最終更新、重要度、権限、社外共有、保存期限、ファイル条件まで一覧化すると、移行対象・保管・削除候補を判断できます。
棚卸し台帳に入れる12列
| 列 | 記入内容 | 用途 |
|---|---|---|
| フォルダー名 | 共有名と階層 | 移行単位を決める |
| 業務・部署 | 営業、経理、総務など | 新しいグループを設計 |
| 所有責任者 | 判断できる担当者 | 削除・保管・共有を承認 |
| 容量 | GB/TB | 契約容量と転送時間を算定 |
| ファイル数 | 概算件数 | 多数の小ファイルによる遅延を把握 |
| 最大ファイル | GBと種類 | サービスの上限を確認 |
| 最終更新 | 最終利用日 | 休眠データを発見 |
| 重要度 | 公開・社内・機密・個人情報 | 保存と共有の条件を決める |
| 現在の権限 | 読取・更新・削除・管理 | 例外権限を整理 |
| 社外共有 | 相手、方法、頻度 | 共有リンクのルールを設計 |
| 保存期限 | 法令・契約・社内規程 | 保管または削除時期を判断 |
| 移行区分 | 移行・保管・削除候補・要確認 | 作業対象を確定 |
棚卸しはフォルダー単位から始める
最初から全ファイルを個別確認すると終わりません。共有フォルダーの上位階層を一覧化し、容量・所有部署・重要度を付けます。その後、容量が大きい、所有者不明、長期間未更新、権限が複雑な場所だけを掘り下げます。
削除ではなく4区分で判断する
- 移行:現在も使い、クラウドで共有する
- 保管:日常利用しないが保存義務や参照可能性がある
- 削除候補:重複、一時ファイル、期限切れ
- 要確認:所有者・契約・保存期限が不明
所有者不明を勝手に削除しない:退職者や終了案件のデータでも、契約・監査・税務・紛争対応に必要な場合があります。責任者と根拠を記録して判断します。
移行見積もりへつなぐ数値
棚卸し後の移行対象容量を容量計算機へ、最大ファイルと件数を製品要件へ、実データの転送速度を移行時間計算機へ入力します。権限の例外数は設計・検証工数へ反映します。
棚卸し結果を承認できる形で残す
台帳には調査日、調査方法、集計対象、除外条件を記録します。容量が変動する環境では、数値だけでなく取得日時も必要です。削除候補や所有者不明データは別表にし、判断者、判断日、根拠を残します。移行後に不足が見つかったとき、どの時点で何を対象にしたかを追跡できます。
部署ごとの確認では、フォルダー一覧を渡して終わりにせず、「移行する」「保管する」「削除候補」「自部署の所有ではない」のいずれかを選んでもらいます。回答期限と未回答時の扱いも決め、移行直前に新規作成・大幅増加した場所だけ差分確認します。
よくある質問
最終更新が古ければ削除できますか?
最終更新日は候補抽出に使えますが、それだけで削除は判断できません。保存義務、契約、所有者、参照頻度を確認します。
容量と件数のどちらが重要ですか?
両方です。同じ1TBでも、大きなファイルが少数の場合と小さなファイルが大量にある場合では、転送・検証時間が変わります。
棚卸し中もファイルは更新されますか?
更新されます。棚卸し基準日を記録し、移行直前に差分を再取得します。初回コピー後の差分同期と更新停止時間も計画します。
参考資料
本記事は一般的な棚卸し方法です。削除・保存の判断は自社規程、契約、法令、専門家の確認に従ってください。